小沢さんに一票!
2006年4月 小沢さんが民主党代表になった時に作成

 先週のSunday Projectで民主党の新代表である小沢さんがゲストで出演していた。話を聞いていると実にポリシーがあって分かりやすくしっかりと一本筋が通っている。

 崩壊しつつある年功序列、終身雇用というシステムは実は長い時間をかけて日本の風土の中で養われた優れたシステムだという。

大企業もリストラを行い、正社員を減らしていつでも首を切ることができるアルバイト社員の比率を大きくしている。低賃金でしかもいつ切られるか分からないような不安定な身分では仕事に専念することなどできないのである。

 正社員といえども、リストラ、賃金カット、人事考課などおちおちしていられない状況である。しっかりと腰を据えて仕事をするどころか、いつリストラに遭い放っぽり出されるか、給料が下げられるのかと不安ばかりが先に立つのである。結局能率が上がらず会社にとっては大きなPower downとなるのである。今は日本全体でモチベーションが低下していることは否めない。愛社精神なんてどこからも湧いてこないのではないだろうか...

 それにしても小泉さんになってからは、毎年賃金カットされるのが当たり前の世の中になってしまった。賃金カットというのはモチベーションを下げる最大の要因ではないだろうか。そもそも日本の給料は先進国の中では最低レベルで決して高くないにもかかわらず、生活費は世界で一番高いのだ。今後の生活は不安だらけである。

 人事考課というのもいかがなものか...人が人を評価する...どうせいい加減な評価しかできないだろう。評価を間違えると組織がひっくり返るリスクすら潜んでいるのだ。実力が備わらず、上にだけゴマすり上手、下からは慕われない社長の飼い犬のような人間が人事考課をしちゃったらその会社の行く末は明白である。それくらいなら年功序列の方が諦めもつくのではないだろうか。自分があの人にそう評価されたのなら致し方ない...と思える人間が組織内に存在するだろうか?

 能力主義という言葉は格好がいいようにも聞こえるが、実はゴマすり上手なものだけが出世するという悪しき形態が増強することになるだけのことではないだろうか。欧米は能力主義だと言うが、内情はゴマすりのうまい者が出世するしくみであり、その点は日本よりも徹底しているらしい。まぁゴマすりも立派な能力だと言えばそれまでだが...欧米のように弱肉強食でコロコロと社名が変わることが果たして良いことなのだろうか?不安定としか言いようがないような気がする。

 ということで、小沢氏によれば戦後の類を見ない高度成長は年功序列、終身雇用があったからこそ成し得た技であるとのことだ。これが日本の風土にマッチしたシステムなのだ。これは確かに一理あると思う。勤務年数で序列を決めるというシステムは分かりやすいし、ある意味では偏った人間による不合理な人事考課が起こりにくいシステムでもある。上に立つ者が少々力不足でも先が読めるだけ下の者が何とかカバーをするという力が自然にはたらき、組織が維持されるのではないだろうか。さらに終身雇用で定年まで働けることを保証することで愛社精神が強固なものとなり、会社のために一生懸命働くという思いが強くなり、その組織の発展の大きな原動力になったわけである。会社と一心同体だと思うくらい愛社精神が強固なものになったら、日本はまだまだ捨てたもんじゃないだろう。

 もちろん競争の部分も必要なんだろうが、それは偉くなりたい者をそうさせればいいだけの話である。組織でリーダーシップをとる人たちは頑張らなければならない。その部分での年功序列は危険かも知れない。中には上に上がるよりも自分に与えられた自分ができる仕事をしっかりやりたいと考えている人たちもたくさんいるわけで、そのような人たちは年功序列、終身雇用を保障し、しっかりと腰を据えて頑張ってもらう方が会社にとってはプラスになるのではないだろうか。

 日本人はなぜか欧米のシステムの真似をしたがる。舶来モノに弱いのである。世界でも評価の高い国産メーカーの時計より舶来モノを付けたがるのだ。年月をかけてつくりあげた自分たちの文化を簡単に否定するのである。そうすることが世界の最先端を走っていると錯覚しているのである。日本人にはポリシーが全くないのだ。欧米の真似をしていったいどうなる?ここは日本だぞ。

 小沢さんにしてみれば、今の日本の経営者もマスコミも政治家もみんな判断を誤っているというのだ。決して業績が悪いわけでもないのにリストラ、人減らし、賃金カットをしなければ時代遅れのような感覚で社員のモチベーションを下げ、結局は自分の首を絞めていることに気付いていないのである。

 会社を細々と食いつなぐという小さな考え方の行く先は衰退しかない。組織のバランスを考え、先を読んで間違いのない舵取りができる人だけが競争を勝ち抜いて上に上がっていってほしいと思うのだ。「企業は人なり」と言う。いくら組織の幹部だけが頑張ったってどうにもならないだろう。社員を大切にしてモチベーションを高め、個人の能力を最大限に発揮して良い仕事をしてもらう方が組織にとっては得策なのだ。

 小沢さんは強引だとか壊し屋だとか批判が多いところもある。しかし、マスコミの扇動に乗り、自分の考えを持たずに人気に惑わされるだけのB級知能レベルの国民を騙して票を集めることが上手な小泉さんよりは遥かに期待が持てるような気がする。

 次は阿部さんでも福田さんでもなく、小沢さんにやってもらいたいと思うのだ。
小沢さんはその番組の最後に、国民はもっと賢くなってほしいと強縮しながら言っていた言葉が印象に残る。一番愚かなのは国民なのだ。国民がこんなだらしない政治をさせているのである。